2010年7月2日金曜日

ドイツ教会の危機

もちろんお気づきだと思いますが、下の絵はレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐のパロディーです。イエスが「弟子たちよ、どこに行ってしまったのか?」とあきれた顔(ちょっとまぬけた顔ですが)をしています。これは先日(6月30日)のDie Welt(ディ ヴェルト、世界)という新聞の一面の絵です。Die Weltは本当に読み応えのある新聞で、日刊ですが、日本の新書版2冊ぐらいの情報量(文字量)の新聞です。Die Weltは今の教会の問題を特集で取り上げたわけです。

このイエスの嘆きには、二つの意味があるように思います。
一つは、いま次々とドイツのカトリック教会・施設内での性的虐待が明らかになり、いま要職に就いている人たちの過去の事件なども表面化されてきたために、ドイツの社会・メディアはこの問題について厳しく追求しています。
アウグスブルクの司教のスキャンダルも明るみに出て、辞任にまで到ったのですが、その辞任が強制的に行われたので法に訴えると本人が言い出したりしたものですから、また大騒ぎになりました。結局は彼はその辞任の受け入れたのですが。
本当に、福音に生き、社会や・教会に仕えるべき司祭はどこに行ってしまったのかというのが、このイエスの嘆きでもあります。

もう一つは、この問題をきっかけに、今、どんどんと人が教会をやめて行っています。Die Weltには、あきれて教会を辞める人、抗議の印としてやめる人、痛みを持ち、また辞めることでさらに苦しみをになっていく人等様々な人たちが紹介されています。その中には、教会に無関心だった人だけではなく、むしろ教会で一生懸命奉仕してきた人たちもいるということです。
ドイツの場合、教会を辞める手続きは簡単で、はっきりしています。市役所の住民登録課に行って、3000〜4000円の手数料を払って、手続きをすれば終わりです。Die Weltは、先ほどのアウグスブルクでは、5月には249人、6月には121人の脱会者があったと伝えています。もちろんこれは、アウグスブルクだけではなく、全国的な現象です。

この絵は、教会を去っていく信徒たちに対して、「弟子たちよ、どこに行ってしまったのか?」というイエスの問いがなされているようにも思います。

日本から見て、これは対岸の火事ではなく、自分たちのこととして考える必要があると思います。教会は、新しい言葉と姿を求めなければ、教会は沈没していくかもしれません。

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