クリスマスのお話はちょっとお休みして、大学図書館について。
ハイデルベルク大学で一目見て「オーッ」と唸らせるのが、大学図書館とAula(大学講堂)です。
ハイデルベルクの図書館自身は、ドイツで一番古い図書館であり、現在の建て物も1905年に造られたものです。
図書館はその正面玄関から威風堂々とした雰囲気を醸し出しており、大きな重い扉を開けて中に入ると、過去100年学生たちがここで学んできた歴史の重みを感じます。
なんだかここにいるだけで、「勉強するぞー!」という気持ちになってきます。
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夏の写真です。 |
建物は100年以上も前に建てられた物ですから、現代の近代的な雰囲気の図書館に比べるとちょっと不便さを感じます。図書は出版年別に配置されており、ジャンルによる区分はされていません(各学部図書館も充実しているので、ジャンル別はそちらで。ただし学部図書館は貸し出しできません)。そして1997年以前の本はどこか倉庫にしまわれていて、閲覧・貸し出しするためには前の日にコンピューター上で注文しておかなければなりません。ちょっと不便さを感じます。
図書関係で感心したのが、コピーに関するエコ意識です。まず学生は学生カードを購入して、このカードにお金をチャージして、コピーと食堂等の支払いに使います。それが無くなればまたチャージするわけです。使い捨てをしないという精神です。それから、コピー機にはスキャナー機能があり、その場で印刷しなくてもスキャンしたデータを自分のメールアドレスに送ることが出来ます。これってとても便利ですし、無駄なトナー代を節約できますし、たくさんの文献をiPadやノートパソコンに携帯できます(データが壊れた場合は当局は一切関知しない。成功を祈る)。
うちの大学にも導入してくれたらいいんですけど。
さて、先日図書館にいると、昔懐かしいガチャガチャがおいてありました。
何を売っているのだろうと見てみると、耳栓です。やはり騒音対策(実は図書館は工事中で結構うるさい。講義棟も工事中で、夏、クーラーのないドイツでは窓を開けているので、あまりにうるさすぎて講義が途中で中止になったことがあります)だと思います。
この辺がとてもドイツ的で、工事は講義が休みの期間にやり終えてしまうというよりも、なんだかいつまで工事しているんだろうと思うほど延々としており、まだまだ終わりそうにありません。そしたら、夜間にするとか、迷惑にならないようにするというのではなく、仕事をする人はその人の仕事をし、学生たちはその騒音に耐えるなり、何らかの対処をするなりして過ごしています。
おもしろいのは、いろいろな公共施設(道路や駅など)の工事現場で、日本だと「大変ご迷惑をおかけして、申し訳ございません」と頭を下げている人の絵が描かれていますが、ドイツでは「あなたたちのためにやっています」と書かれています。
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Wir bauen für Sie.
わたしたちはあなたたちのためにやっています。 |
この割り切り方は無責任だとも言えるし、なんだかいつも「すみません、申し訳ございません」と謝ってばかりいて、謝られるまで腹を立てているという無駄なストレスから解放されているとも言えます。