2010年5月12日水曜日

寒い中での熱い一時

とにかく、最近のドイツは寒い。数週間前は、一時は20度を超す陽気で半袖シャツを入れた荷物の到着が待ち遠しかったのですが、「キタ−!春ー!」というブログを書いたのもつかの間、毎日雨と曇りばかりの寒い日々が続いています。昼間でも10度から15度ぐらいです。半袖のシャツも寒々しく見え、タンスの奥にしまってしまいました。

昨日は寒さに加えて、夕方出かけようとすると、一天にわかにかき曇り、雷が鳴り、雨が降り始めました。

実は、昨日は外国人留学生や研究者を招いてのコンサートがありました。チャリティーコンサートで入場料はなく、一般にも開かれています。自由に募金し、それを社会福祉事業に寄附するということです。

案内には、Noe Inuiという演奏者(ヴァイオリニスト)の名前が書かれていました。Inui(いぬい)という日本語の響きの名前と、Noeというちょっと聞き慣れない名前の組み合わせを不思議に思いながらも、コンサート会場に向かいました。

コンサート会場は大学のAula(講堂)です。このAulaはハイデルベルクの中でも特に気に入っている場所です。19世紀の終わりに改装されたもので、まるで宮殿の1室かと思わせるような装飾がなされ、非常に荘厳さとアカデミズムを感じさせるところです。天井には各学部を表現した絵が描かれています。


Noe Inui氏ですが、ブリュッセルで日本人の父親とギリシャ人の母親の間に生まれ、12歳でブリュッセル王立音楽院に特別入学、14歳でソルフェージュ科とヴァイオリン科を首席卒業。同年、ベルギーのワロニア王立管弦楽団と共演しソリストデビュー。その後パリ国立音楽院を経てパリ国立高等音楽院で在学中、交換留学生としてカールスルーエ国立音楽大学大学院で学び。19歳でパリ国立高等音楽院を主席で卒業。世界的に演奏活動をしてい方です。こんなすばらしい方の演奏を、Aulaで聴けるなんて至福の時です。

演奏曲は、バッハ、ウジェール・イザイ、エルンストーロタール・フォン・クノル、ニコロ・パガニーニの4曲ですが、彼の熱演に聞き惚れた一時でした。顔の角度によっては、日本人に見えたり、ギリシャ人に見えたりするInui氏が、汗だくになって弾いてくれたバイオリン(ストラディヴァリウス)演奏は、本当に「熱い一時」でした。

コンサートのあと、冷たい雨の降る中、ハイデルベルクで一番頑固者の店長がやっている,ハイデルベルクで一番おいしくてお手頃な値段(600円ぐらい)のピザ屋で、ドイツ人の学生と「熱いピザ」を食べながら「熱い会話」を交わしました。

でも、Inui氏は何カ国語を話せるんだろう?

6 件のコメント:

  1. 初コメント失礼します。

    すごく素敵な講堂で、こんな場所でコンサートを聞けるなんて羨ましい!!
    荘厳な内装とヴァイオリンの音はすごくマッチするでしょうね・・いいなぁ。
    乾ノエ氏は時々日本にもいらしているようですね。日本での公演を期待してしまいます//

    返信削除
  2. ゆゆゆ さん
    コメントありがとうございます。
    確かに、すてきな講堂ですばらしい音楽を聞けたことに感謝しています。

    でも、このブログを書いていて感じることは、ドイツ人にとっては当たり前のことを,ただ日本人という外からの目で見ているので、取り立ててブログに書いているだけなのではないかということです。
    これは逆のことも言えます。日本で日本人が当たり前に経験していることも、外国人から見るととても興味深く、すてきに思えたり、驚きであったりするということです。
    たとえば、焼き鳥屋に行った、そこでは炭で鶏肉を焼いている、ということを驚いて書いているようなものです。
    ということは、日本にいたとしても、わたしたちがちょっと視点を変えると、当たり前のことであっても,ひょっとしたら輝いて見えてくるかもしれません。
    日本に帰ったら、新鮮な目で、日本再発見をしてみたいと思っています。

    ゆゆゆさんも、何か見つけてみてください。

    返信削除
  3. 少し久しぶりにお邪魔します。
    先生が楽しんでいる様子が伝わりますね。

    しかし美しい講堂!
    天井も見てみたいものです。
    演奏も格別だったんでしょうね。

    そういえば昨夜は僕もピザをごちそうになりました。
    とても丁寧な、おいしい手作り料理で頂きましたが、
    その際少しだけ料理にも触れさせてもらい(ピザ生地にソースを塗り、トッピングしただけですが・・・)、焼き上がる様子を見るのは、なんだか新鮮でした。

    返信削除
  4. ノエ君のラジオ放送がありましたので参考になると思います。
    ドイツ語でですが?
    Gast: Der Violinist Noé Inui
    SWR2 Dschungel vom 22.7.2010 | 20.47 Uh

    http://swrmediathek.de/player.htm?show=d81cca04-9bdc-11df-b44d-00199916cf68

    返信削除
  5. ノエ君の友人2010年8月7日 5:32

    乾 ノエ君の友人です。

    >>でも、Inui氏は何カ国語を話せるんだろう? <<

    この疑問に答えましょう。
    彼の育った家庭では、日本語とギリシャ語をはなします。そして、学校ではフランス語です。ベルギ-ではオランダ語も義務教育です。少し出来るようですよ。英語は小さい時から慣わされていたようです。交換留学生としてカールスルーエ国立音楽大学大学院で勉強するために、ドイツ語も勉強したようで、少なくとも、5カ国語は確実に話せるようです。しかし、日本語の漢字が苦手だそうです。ブリュッセルの日本人学校の補習校に毎週土曜日通わされていましたが、週一日の補習校では漢字は暗記出来ないとのことです。因みに、彼のお母さんは8ヶ国語、お父さんは6ヶ国語話すそうです。現在ノエ君はデュッセルドルフに住んでおられます。

    返信削除
  6. Inui氏の友人さん
    コメントありがとうございます。
    わたしたちのこどももドイツに住んでいたときに、日本語補習校に通っていました。なかなか、漢字を覚えるモティベーションがなく、苦労しました。
    もし、Inui氏にお会いすることがあれば、よろしくお伝えください。

    返信削除