2010年5月11日火曜日

バッハ・カンタータ・ゼミ BWV49と95

今朝、ようやくちょうど2ヶ月前に日本から送った荷物が届きました。念願の炊飯器がついたのですが、この1ヶ月ほどで鍋でご飯を炊く術を覚え、またそれが思いのほか簡単で、しかもおいしいので、あまり感動もなく、受け取りました。醤油にみりん、乾麺、ラーメン、海苔に乾燥ゴボウなど一挙に台所の棚が一杯になりました。でも、本当は手に持ってこようと思っていた味噌を忘れたので、当分味噌汁はお預けです。まあ、先日ご紹介した「タイガー・ドラゴン」に行けば買えるのですが。

荷物の片付けも1時間ほどで終わり、今日のバッハゼミのための予習をしていました。妻が、今日はBWV95をやる予定だというので、インターネットからテキストを印刷して、準備していきました。

ところが、授業が始まると、メラー教授が「みなさん、今日はカンタータ49番です」というじゃないですか。一番前に座って、講義を受けているので、何事もないように用意した95番のプリントを、「何も間違ったことをしてませんよ〜」という顔をしながら、さりげなくファイルの中にしまいました。幸い、バッハ・カンタータ全曲集という本を持っていたので、助かりました。

これは、よくある間違いで、ドイツは20以上の数字を日本語とは違って、逆に言います。たとえば、95は「5と90」というわけです。これを早口でいわれる(ただ聞き取りが悪いだけですが)と、ふと勘違いして「9と50」みたいに聞き間違ってしまうことがあります。またわたしたちには40と50がよく似ているわけです。ちなみにわたしのノートには49と書いてありました(^_^)v。

もう15年ほど前になりますが、ドイツで働いていたときに、40人ぐらいの人と一緒にスイスにバス旅行に出かけました。チューリッヒという街に着いたときに、リーダーから「2時フュンフツェーンに集合です」といわれました。フュンフは5,ツェーンは10で、英語のフィフティーンと同じで15分を意味しています。こんな初歩的なことはわかりきったことなのですが、その時はなぜか、5と10だから50分だと思い込み、プログラムの紙にも2時50分と書いて、わたし一人で街をブラブラして、2時45分ぐらいにバスのところに帰ってきました。するとなんだかおかしな雰囲気、みんながわたしをの方をじろじろ見ているわけです。「お前、数字を聞き間違えただろう。みんな心配して待っていたんだよ」といわれて、自分の聞き間違えに気がつきました。小さいころから親に「あっ、しもた、ということをするな」とよく言われていたのですが、まさに「あっ、しもた」でした。


まあ、それとよく似たことが今日も起きたわけです。ところが、これから、続きがあります。

講義が終わって、来週講義を担当してくれる教授に、来週のカンタータは何番でしょうかと聞くと、「あなたはさっき95番のテキストを持っていたけれど、どうしてですか。」と聞かれました。「しまった、見られていたか・・・」と思い、事のてんまつを説明して、笑い話になりました。ところが、彼自身はわたしのプリントを見て、「実は、来週95番にしようか、それとも161番にしようかと迷っていたところ、あなたが95番のテキストを持っているのを見て、天の声を聞いたような気がしました」といわれたのです。

わたしたちの聞き間違えが天の声になるという不思議な経験でした。しかも、メラー教授からは、「この人は葬儀をテーマに論文を書いているから、次週は95番がいいんじゃないか」という後押しの声もあり、来週はBWV95「我がいのちなるキリストよ、死はわたしの得」になりました。
ちなみに、BWV49の主要なテーマは「声」でした。

これに気をよくして、帰りに前から気になっていた、自分のところでビール醸造をしているレストラン(レストランもしているビール醸造所??)で、ビールを買って帰りました(1本650円、瓶代を含む。1リットル瓶ですよ。でも普通は500mlが1本80円ぐらいですから、やっぱりちょっと高め。)。これまた瓶をここに返しに行くと、また瓶を交換して新鮮なビールを買えるわけです。

やっぱり、バッハのカンタータはおもしろいです。専門を変えようかと思うぐらいです。

刺激的な勉強のあとの新鮮なビール、カーッ、たまりませんなぁ。ドイツ語の失敗も吹き飛びます。

4 件のコメント:

  1. おひさしぶりです!
    GWは引っ越しと大阪女学院のチャペルで開催されていたとあるイベントのスタッフをしていて、体力を削られていました。

    いまは金曜日のチャペルト―クの中身をつくっているのですが、ドイツでたくさんのネタを仕入れているMNさんがとてもうらやましいです☆

    数字の聞き間違えって結構イタイですよねぇ…
    市場での買い物が主流のインドネシアでは値切るためや値段をごまかされないために、数字を覚えることは必須でしたね!!

    荷物も着いたようで安心しました♪これで、心おきなく研究に打ち込めますね(笑)

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  2. 数日前の写真にもありましたが、ビールがうらやましい・・・

    ちなみに我が家でも炊飯はナベ派です。
    2年前に炊飯器が壊れてしまったのがきっかけですが、
    早いし楽ですよね!


    なるおさん お疲れ様です。
    また神戸で会いましょう。

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  3. なるおさん、LIMさん
    コメントありがとうございます。
    ハイデルベルクはここ2週間ほど毎日雨です。まるで冬に戻ったかのように寒く、友人たちもこのおかしな天気に気分が落ち込むといっています。雨の間に少しでも日が差すと,どこからともなく人が外に出てきて、自転車に乗ったり、ジョギングしたり、太陽を楽しんでいる感じです。
    天気予報では、今日も曇り、明日も雨、明後日も雨。
    炊飯器よりも、太陽がほしいです。

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  4. J・S・バッハのカンタータ解釈ゼミ、いいですね。うらやましい。
    音楽作品の神学的解釈はいつもやっていることとは言え、
    周りにそんなことを真剣にする人がない状況では、
    他の意見を聞くことすらできませんから……。
    ひょっとして、専門の選択を間違えたか?

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