2010年5月27日木曜日

Kirschblüten -Hanami- (サクラ ー花見ー)という映画

ドイツに来てから、会う人会う人から「Hanamiという映画をみたか?」ということを聞かれます。それって、ひょっとして北野武の「Hanabi」の間違いじゃないのと思いながら、聞いてみると、そうではなくドイツ人が日本に行く話だというのです。
ドイツ人が日本に行く話なら2000年頃に「Erleuchtung garantiert」(悟り 保証付き)という映画があり、それの間違いではないのかと聞いてみると、どうも違うらしいのです。
Erleuchtung garantiert (悟り 保証付き)というのはドイツ人の兄弟が「悟り」を求めて、日本の禅寺に来るという物語です。

後で分かったことですが、Erleuchtung garantiert(悟り 保証付き)もKirchblüten -Hanami-  (サクラ −花見−)も同じドーリス・ドョリーという監督の作品でした。

あまり何度も言われるので、気になって昨日日本のTSUTAYAの宅配レンタルみたいなサービスを利用して見てみました。
ドイツのバイエルン地方に住む老夫婦。真面目で堅実で自分が住んでいる世界のことしか知らない夫と日本好きで日本舞踊にあこがれている妻。実は、医者から夫は癌で余命幾ばくもないことが妻に告げられます。妻は一度日本に行ってみたいと思っていたのですが、その思いを夫に告げますが、夫を説得することも出来ないまま、夫より先に突然死してしまいます。
愛する妻を亡くした夫は、妻が好きだった、そして妻が見たいと願っていた日本に単身やってきます。実は東京に彼らの息子が住んでいるのですが。妻が着ていたガウン代わりの着物と彼女が最後に着ていた服を持って日本にやってきます。全く言葉が通じない中、様々な日本の日常に出会います。最終的には妻があこがれていた(前衛的)日本舞踊を毎日公園で舞う18才の女性と出会い、片言の英語で会話しながら富士山が見えるところまでたどり着き、きれいに晴れた日の朝、妻の着物を着て、彼自身が舞を舞い、その富士山が見える湖畔で死んでしまいます。

亡くなった妻を求めて、日本まで来て、彼は何を発見し、何を受け入れ、どう変わったのかがテーマであると言えます。その中で一つのキーワードが「影」でした。18才の女性が「わたしが踊っているのではなく、わたしの影が踊っているのだ」と語る言葉があります。最後には湖に映った逆さ富士がそのテーマを象徴するようです。生きている自分と死んだ妻。妻がいることが当たり前の昔と妻がいないことが当たり前の今。どちらが光で、どちらが影なのか。終わりが始まりなのか。それとも始まりが終わりなのか。そんなことを考えさせる、とても良い映画でした。


サクラのほうは2008年に上映された作品です。こういう作品には日本に対する先入観、つまり外国人にとって興味深い日本のシーンがちりばめられていて、そういう偏見にはちょっとうんざりするところがあります。(まあ、わたしのブログもドイツ人が読めば、変なところに目がいっていると思われるでしょうけど)。もちろん、こういう外国人が描いた日本を舞台にした映画は日本ではなかなか見る機会がないと思います。

それは、ドイツ人やオーストリア人が「サウンド・オブ・ミュージック」も、ドレミの歌も知らないのと同じです。「フランダースの犬」の物語も、アントワープの人は知りません。もちろん「森へ行きましょう、娘さん。アッハッーハ♪」という歌はスイス人は歌っていません。

2 件のコメント:

  1. 映画『Hanami』のご紹介興味深く拝見。映像の俳優に好感を持ちました。ぜひとも観たい!ものです。こちらの映画館に来るのか、はたまた、TSUTAYAで借りられるのか。このところ、TSuTAYAの宅配契約したので三宮まで出向かずに便利してます。ドイツにもTSUTAYAのようなところあるんですねえ(当たり前!ですか)。
    そちらの映画館情報など書いていただければ嬉しいです。
                          りっちゃん

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  2. コメントありがとうございます。さすが映画好きですね。
    実はドイツ人も結構映画好きなのです。ハイデルベルクは150,000人という小さな町ですが、5つも映画館があります。そこで、1日のうちに23の映画を上映しています。ほとんどがいわゆるミニシアター系です。アメリカのお金をかけた派手な映画もやっていますが、どちらかというとじっくりとストーリーを楽しむという映画が好きなようです。ドイツ映画もありますが、ヨーロッパ系、中東系、ドイツ・スイス・イスラエル合作というようなものもあります。いい映画もありますが、なかなか日本語には翻訳されないのが残念ですね。
    ドイツ語で映画のストーリーを大筋で理解するというのは出来ますが、言葉の細やかなやりとりを理解するというのはなかなか難しいです。DVDだと難聴者用の字幕があるので、結構助かります。
    おもしろそうなDVDも注文していますので、またご紹介します。

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