2011年8月16日火曜日

北海道の旅 2 - 三浦綾子記念文学館 -

旭川の郊外、美瑛川の右岸に、「外国樹種見本林」というヨーロッパなどからもってきた苗木を植えてつられた林があります。


この森が、三浦綾子の代表作『氷点』の舞台となっており、その森の入り口に「三浦綾子文学記念館」が立っています。三浦綾子のこの外国樹種見本林の体験が『氷点』を生み出す一つのきっかけとなっています。



『氷点』は、「風は全くない。東の空に入道雲が、高く陽に輝いて、つくりつけたように動かない。ストローブ松の林の影が、くっきりと地に濃く短かった」と冒頭の言葉に始まり、「ガラス戸ががたがたと鳴った。気がつくと、林が風に鳴っている。また吹雪になるのかも知れない」という言葉で終わっています。

風の全くない平穏な人生の中に、「人間の罪」「原罪」が動き始める物語の展開がこの二つの言葉に象徴的に表れています。ここに出てくる、「ストローブ松の林」「林」こそ、この「外国樹種見本林」です。


三浦綾子の罪理解には、若干の疑問があるけれど、あの林を思い浮かべながら、できたらあの林の中でもう一度『氷点』『続氷点』を読んでみたくなりました。


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