コメントのご指摘の通り、「父なる神」という概念から神は若干年を取った男性の姿で描かれています。女性の姿、母親像として描かれているものはありません。ただ、この三位一体を表現する絵画や彫刻以上に、マリアを描いた絵画や彫刻がたくさんあるということも注目すべきだと思いました。もちろん女性が描かれていれば何でもいいというわけではありませんが、今日それをどのように「解釈」するかということに大きな課題があるように思います。
先日訪れたルーブル美術館でその他にもいくつか神を描いた絵を見つけましたので、ご紹介します。
この神を描くということですが、イエスが一人で描かれることがあっても、神が単独で描かれるということはありません。いつも、神(父)と子と聖霊がセットになって描かれています。問題は、神をどう描くかということではなく、キリスト教の教義の三位一体をどのように絵画で描くかということが問題なわけです。
そこで、一番キーワードとなるのがマルコによる福音書1章10−11節の「(イエスが)水の中から上がるとすぐ、天が裂けて、”霊”がハトのようにご自分に降って来るのを、ご覧になった。すると、『あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者』という声が、天から聞こえた」という言葉です。この言葉に基づいて三位一体をどのように絵画で表現するかがテーマです。
ですから、いくつかの絵を見ていただくと分かりますが、神と聖霊とイエス(特に十字架上のイエス)が一直線上に描かれその一体性を感じ取ることが出来ます。それから、聖霊がどの位置に描かれるかによって、三位一体論の理解の微妙でしかし大きな違いを描き分けています。
この三位一体を表す「神・聖霊・イエス」の構図は「恵みの座」と呼ばれ、中世(ロマネスク:10−12世紀、ゴシック:12世紀以降)とバロック(16−18世紀)の教会建築やキリスト教絵画において描かれました。
この「恵みの座」の絵を集めたホームページがあるので、興味のある方はご覧ください。
Henri BELLECHOSE, 1415-1416 聖デニスの祭壇画 |
Frans FLORIS,1562 |
1457年頃の祭壇画 作者不明 |
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