ドイツの大学でも、理学系、工学系、医学系の学部は拡張し、人文科学系は縮小気味です。いわゆるアルテ・シュタット(旧市街)と呼ばれるところに文学、哲学、神学、法学などの人文科学系の学部が点在していて、わたしたちが住んでいるキャンパスには、医学系、生物科学系の学部が建てられています。また、ハイデルベルク大学はキャンパスII という新しい理系のキャンパスを拡張する計画でいます。
人文科学が軽視され、哲学や宗教と分離されて発展していく自然科学の問題性を懸念する声も聞かれます。
ハイデルベルク大学の神学部は現在約700人ほどの学生が所属していますが、いわゆる旧市街の一番端にあります。別に端に追いやられたというわけではなく、以前からそこにあり、大学の中でも非常に古く伝統のある学部です。
神学部本部入り口 |
エキュメニカル・インスティテュート ここには(手前)エキュメニカル学生寮もあります。 10年前、ここで一人で住んでいました。 |
昨日、図書館に行って学術雑誌を見ていると、なんと見慣れた絵が目に飛び込んできました。
それは日本のマンガの『聖(セイント)☆おにいさん』です。日本のマンガがドイツの神学雑誌の表紙を飾っているなんて、びっくりです。
この雑誌は「schlangenbrut」(シュランゲンブルート、まむしのやから/邪悪の徒」という名前がつけられており、そのコンセプトは「フェミニズム・宗教に興味がある女性のための雑誌」と書かれています。今回は「イエス」がテーマで、その中の一つの記事として『聖(セイント)☆おにいさん』が取り上げられています。
昨日は時間がなかったので、内容は読んでいませんが、バネッサ・ギョルツという人が「神曲 マンガ『聖(セイント)☆おにいさん』」という論文を書いています。
また、今度内容を紹介します。
日本の神学部のみなさん、1年かかって数十頁のドイツ語を読んで論文を書くよりも、あっという間にマンガを読んで、論文を書いた方がいいかもしれませんよ。でも、マンガを読んで、それを神学的に解釈できるようになるためには、よっぽどしっかりした神学的な基礎が必要ですけどね。
今日の記事は、刺激を受けました。ドイツ語に苦戦していますので…。でも、私にはマンガで神学論文を書くセンスはないですし…どうしましょう…(笑。
返信削除ieyamaさん、コメントありがとうございます。
返信削除ぜひ、ドイツ語もがんばってください。「マンガで神学論文」、簡単なようで実はドイツ語の論文を読むよりも大変かもしれません。やはり「狭き門より入れ」が鉄則でしょうか?最近は、マンガ好きのドイツ人が、「日本学部」に入学して来るみたいです。でも、日本のマンガを日本語で読んで理解するのも、なかなか大変ですよね。「こち亀」をテーマにしたら一体何冊読まなければならないのでしょうか?
久しぶりにお邪魔します。
返信削除おもしろいですね!
やっぱりブッダとイエスが共同生活するなんて発想は(しかもマンガでそれを面白おかしくやってしまうという…)ドイツの人にとって、私たちが感じるよりずっと独特で刺激的なんでしょうね。多神教風土でのキリスト教受容?インカルチュレーションの一つの実例になったりするのでしょうかね。
またいつかぜひ内容を教えてください。
hasimotoさん、コメントありがとうございます。
返信削除実際に読んでみたら、1頁ほどのレポートでした。書いているのは、マンガやアニメにおける宗教性を研究されている20代後半の女性でした。日本語も出来るんでしょうね。でも、この雑誌の至る所に、イラストとして『聖☆おにいさん』のマンガが使われていました。よっぽど気に入ったのでしょう。