2011年2月3日木曜日

ハイデルベルク大学神学部 学位記授与式

今日は、ハイデルベルク大学神学部の学位記授与式が行われましたので、出席してきました。
ドイツの大学には、いわゆる日本の卒業式にあたるようなセレモニーはありません。4年生もしくはそれ以上の学生がその学期の終わりに、晴れ着を着て一堂に会して、「はい、これで卒業しました」というようなセレモニーは行われません。試験を受け、資格を取るための必要な書類を整えれば、自分でさっさと次のステップへと進んでいきます。ドイツはドイツで独自の学位制度があるのですが、ボローニャ・プロセスという学術的な国際化(アメリカ化)が進められています。現在神学部でもドイツの学位制度とボローニャ・プロセスによるものとが混在している状況でした。
ドイツの学位は単に卒業学位と言うよりも、研究者になっていくために越えていかなければならない関門です。

Diplom(学士)→Magister(修士)→Doktor(博士)と進んで、ようやく研究者として認められます。教授になるためには、その後教授資格審査であるHabilitationを受けなければなりません。

Doktorは、論文を書いて、その後に神学5科目に関して、各専門の教授から口頭試問を受けなければなりません。

Habilitationになると、論文を書いた後、学部から提示されたテーマ(3つ)について、4週間の間に準備をして、教授陣の前で講義をしなければなりません。もちろん、そのテーマについての質疑応答も含まれます。そこで、研究能力だけではなく、教授能力も審査されるわけです。なかなか厳しいシステムです。(だからといって現在の教授の講義方法がすばらしいというわけではないのですが。)
旧大学校舎にある講堂で授与式が行われました。

ハイデルベルク大学では、各学部で学位記授与式が行われます。今日行われた授与式では、キリスト社会福祉学科で、Diplomが3人、Magisterが8人、Doktorが1人でした。
神学部本科では、Magisterが2人、Doktorが7人、Habilitationが2人でした。


授与式は、学部長と副学部長と共に学位受領者が入場してきます。
まず、ピアノ演奏があり、学部長の挨拶、それから全員の人物紹介(略歴)と短い論文紹介を行います。そして、学位記の授与があって、総代の挨拶、ピアノ演奏で終わりです。

ドイツにおいて、社会的に重要な学位ですが、式次第はA5にピラピラの紙、学位記はA4用紙といたって簡単です。証書フォルダーなんてものも、証書筒なんてものもありません。

式次第、今日は贅沢に色つき紙です。
Doktorを取られた一人の女性は、教会で補教師として働きながら、5人の子どもの子育てをして、博士論文を書き上げました。ドイツの牧師は暇だなんてことはなく、知り合いの牧師は年間50回の葬儀、週2時間の学校での宗教科授業をこなしているということです。もちろん説教、礼拝、教会行政、訪問、各種集会は基本です。恐るべしパワー。

彼女の論文テーマは、「キリスト教における『幸福』理解」でした。

1 件のコメント:

  1. おおおおおおおお~~~!!
    外から妄想して眺めたあの建物の中で・・実現しましたね!
    なんかとってもじんわりと胸に広がるものがあります。
    おめでとうございます!

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